信濃川発電所で不正取水

JR東、信濃川から不正取水 電力を山手線に使用

 長さ、水量とも日本一の信濃川が揺れている。新潟県内にあるJR東日本水力発電所で、長年不法に大量の水を抜き取っていたうえ、データ改ざんが明らかになり、地元自治体や住民に取水の停止や制限を求める動きが起きている。取水を制限されるとどうなるのか? 200キロ離れた首都圏の住民にとってもひとごとではなくなる可能性がある。

 この発電所は、同県十日町市にある宮中ダムで信濃川をせき止め、年間14億キロワット時を発電している。

 主に山手線など首都圏の電車運行に使っており、JR東日本の使用電力量の23%にあたる。JR東が「ラッシュ時の山手線の2本に1本は信濃川の水で走っている」というほど重要な施設で、電気を送れないとなると、運賃値上げにもつながりかねない。

 不正取水が発覚したのは昨秋。十日町市国土交通省に行った情報公開請求をきっかけに、JR東が98〜07年の10年間で計約1億8千万トンを超過取水していたことが明らかになった。

 JR東には信濃川から毎秒最大317トンの取水が許可される一方、ダム下流に同最低7トンを流すよう義務づけられていた。ところが、JR東はダムの取水口などにある観測装置に改ざんプログラムを組み込み、実際には317トン以上の水を取り入れても、記録上は317トンしか取っていないように見せかけていた。

 また、下流への水量も、実際は7トンを下回っても、7トンを流したように改ざんし、10年間で記録より約38万トン少ない量しか流していなかった。

 水力発電所における不正取水やデータ改ざんは06年以降、全国の電力会社などで発覚。国交省は07年3月、JR東側にも確認したが、この時の回答は「適正に行っている」だった。

 虚偽回答したことや、不正取水がきっかけで07年に水利権が取り消された東京電力の塩原発電所(栃木県、13年間で不正取水量約8千万トン)の水量を大きく上回っていることもあり、国交省は河川法違反にあたるとして処分を検討中だ。流域住民で作る「信濃川をよみがえらせる会」は先月27日、JR東に取水の即刻停止を申し入れ、田口直人・十日町市長も同30日、東京・渋谷のJR東本社を訪れて抗議するなど地元の住民感情は悪化している。抗議を受け、JR東の沢本尚志・執行役員は「発電の方に目がいってしまい、水の管理はかなりルーズだった。大変申し訳ない」と謝罪している。

 そもそも、全長(367キロ)と総流量(年160億トン)で国内最大を誇る信濃川は、中流域にある東京電力・西大滝ダム(長野県飯山市)と宮中ダムでほとんどの水が発電用に抜き取られる。取り込まれた水が再び川に戻るまでの63・5キロの区間は大河が「小川」に姿を変えてしまう。夏には水温が30度を超え、魚類がすみにくい環境が生まれている。

 国や新潟・長野両県の周辺自治体は99年、協議会を設け、10年かけて大量取水による生態系などへの影響を調査。3月末にもJR東に、取水を大幅に制限するよう求める提言をまとめる予定だ。JR東は「協議会の結論は尊重したい」としているが、代わりの電気を電力会社から購入することになれば、「大幅な経費増につながる」(沢本役員)としており、首都圏内の運賃にも影響しかねない状況となっている。(三浦英之)
(asahi.com:朝日新聞トラベルより)


これは酷い。
「水の管理はかなりルーズだった。」って割には、観測装置のプログラムまで改ざんしちゃってます。
最悪、稼動停止とかになっちゃうのでしょうかね。。。


ところで、つい最近まで、「水力発電」という発電方法は、環境に良い発電方法だと思ってたんです。
しかし、水力発電をするには「ダム」が造られるだろうし、取水量によってはその川を枯渇させてしまうので、そこまで環境に良い発電方法ではないらしい。
現に、このJRの信濃川発電所信濃川から大量に取水をしてたおかげで、魚類がすみにくい環境にしてしまってるしね。